なぜバリ島のオルタナティブ教育は“環境問題”に本気なのか
- Takahashi Reina
- 6月27日
- 読了時間: 4分
気候危機時代を生き抜く「新しい教養」とは

1. 世界が変わる。バリ島の学校が変わる。いま、地球の異変は誰の身にも迫っている
かつてはどこか遠い国の話だった「異常気象」や「気候危機」が、
今や私たちの日常にじわじわと入り込んでいます。
大雨、洪水、猛暑、干ばつ、山火事、海の異変――。
これらはもう“ニュースの中の出来事”ではなく、生活や学びの足元を揺るがすリアルな問題になりました。
バリ島も例外ではありません。
観光エリアを一歩離れると、島のほとんどは棚田やジャングル、ローカルの村。
こうした土地で暮らす人々や子どもたちの日常は、自然の変化と直結しています。
ここ数年、
雨季と乾季のリズムが乱れ、
農作物や伝統行事のスケジュールが狂い、
海岸や森にも、かつてなかった変化が起きています。
これは決してバリ島だけの現象ではありません。
国連やWWFが示すデータでも、世界中で
平均気温の上昇
生態系の喪失
自然災害の激増
が止まらない現実が報告されています。
2. 環境問題は「知らなくても」「関係ない」では済まされない
「地球のことはよく分からない」「自分には関係なさそう」と思っても、
環境問題は“知らないから”“遠い国の話だから”といって無視できるものではありません。
異常気象はもはや世界中の生活インフラや健康、食料、教育、経済をじわじわと揺さぶりはじめています。
今はピンとこない人でも、いずれ誰もが避けて通れない“自分ごと”になる。
これが2025年現在の国際的な共通認識です。
3. なぜバリ島のオルタナティブ教育は環境を“学びの中心”に据えるのか
バリ島にはグリーンスクールをはじめ、さまざまなオルタナティブスクールが存在します。
共通するのは、「地球とともに生きる力」を身につけることを最優先している点です。
教室の外で、五感で自然を体験する
水や土、森、海など、生態系そのものを教材とする
教科書で覚えるだけでなく、自ら問い、調べ、行動する
プロジェクトや共同作業を通じて、持続可能な社会の一員としての感覚を養う
これは単なる理想論ではありません。
現代社会の便利さや経済成長も、「健やかな地球」があってこそ成り立つ。
そんな揺るがぬ現実に、教育現場が本気で向き合っているのです。
4. “生きる力”と“未来を創る力”を同時に育てる新しい教育
テストや偏差値だけに頼らず、
課題解決力
チームワーク
多文化共生
創造力と自己表現
といった、これからの社会で本当に必要とされる力を育てるカリキュラムが展開されています。
これは、日本の大学受験や「とりあえず進学」とはまったく違うアプローチ。
自分の進路を自ら切り拓く力をつけたい、世界とつながる力を育てたいという子どもたちには、最適なフィールドとなっています。
5. 世界の教育は「地球のため」「人間のため」に変わり始めている
国際機関や環境教育の専門家も、今の子どもたちには
「自然や社会とつながる力」「地球全体を自分ごととして考える力」
が求められると繰り返し指摘しています。
特にバリ島のように、多文化が混じり合い、自然の変化を日々体験できる土地では、
サステナビリティ(持続可能性)
地球市民としての視点
自然や社会との共生を当たり前のものとして学ぶ環境が整っています。
6. 「知らない」「関係ない」では済まされない時代の新・教養
異常気象や環境危機が加速する今、
教育と環境問題は切り離せないテーマとなりました。
どれほどの学力やスキルも、地球が壊れてしまえば未来はない。
教育も幸せも、健やかな地球があってこそ意味を持つ。
バリ島のオルタナティブ教育は、「地球と共に生きる」ことを、知識ではなく“体験”として根付かせる。
この学びこそが、これからの時代を本当に生き抜く力につながる――
それがいま、世界中の家族や教育現場がバリ島に注目する理由です。
環境問題は、もはや「知る/知らない」「意識高い/低い」といったレベルの話ではありません。
すべての人が、自分ごととして向き合い、行動すべき“新しい教養”なのです。
【参考・出典】
・IPCC第6次評価報告書(2023)
・WWF「リビング・プラネット・レポート2024」
・国連OCHA等の災害・環境報告
・各国教育関係者インタビュー、公開資料より要約
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