世界中の家族が選ぶ、
バリ島の教育移住の注目の理由 

バリのオルタナティブ校では、「教室の壁は地球そのもの」 という発想が日常です。たとえば午前中の理科は、キャンパス裏の菜園で土壌の pH やミミズの働きを調べるフィールドワーク。午後は、そのデータをグラフに起こして数学につなげたり、収穫したハーブで家庭科のクッキングをしたり――教科の垣根を越えて“循環”を体感させる設計が多く見られます。
こうした取り組みは全校共通ではありませんが、太陽光・小水力発電の導入やコンポスト・炭素循環のテーマ学習を掲げる学校が増加傾向。子どもたちは CO₂ センサーや温度計を手に、地球の呼吸を「自分ごと」として感じ取るようになります。

バリ島中南部（ウブド～チェングー周辺）は、車で１時間以内に 20 校以上の多様なスクール が点在する希少エリアです。モンテッソーリ認可校から Waldorf インスパイア校、ブリティッシュカリキュラムを土台に探究型を掛け合わせた学校までラインナップは豊富。
「入学してみたら子どもと合わなかったらどうしよう」という不安も、ここでは比較的軽減されます。短期編入で試し、相性を見て本登録――そんな柔軟な“教育ジャーニー”を受け入れる校風が根づいているからです。ただし実際の受け入れ枠や条件は学校ごとに異なるため、事前に期間・費用・ビザ要件を丁寧に確認 することが大切です。

主要校では、１クラスに 10 以上の国籍が混在することも珍しくありません。休み時間に飛び交う言語は英語だけでなく、スペイン語・フランス語・韓国語など多彩。子どもたちは「文化は違って当たり前」という環境で自然にコミュニケーションの引き出しを増やします。
異文化理解の授業を“教える”というより、日常そのものが教材。たとえば誕生日を祝うときは、それぞれの国の歌やお祝い料理を持ち寄り、教室がプチ万国博覧会に。こうした体験が「多様性は脅威でなく可能性」という感覚を根づかせます。

バリ島では、神（Parahyangan）・人（Pawongan）・自然（Palemahan） の調和を大切にする価値観が生活に息づいています。多くの学校はこの哲学をカリキュラムに織り込み、朝の祈りや感謝のメディテーションを短時間でも行います。
“精神性”と聞くと宗教色を気にする方もいますが、ほとんどの学校が多宗教・無宗教の家族に配慮 しており、強制はありません。「ありがとう」を誰に、何に伝えるか――その問いが子どもたちの“内なる羅針盤”を育てる役割を果たしています。

ワールドスクーリング家庭が増える昨今、バリの学校は１週間～数か月の短期編入やホリデーキャンプ を積極的に受け入れています。たとえば乾季だけバリで学び、雨季は母国で過ごす二拠点学習を組む家族も。
全校が同じ制度を持つわけではありませんが、「学びの連続性を旅のリズムに合わせたい」という声に寄り添う学校が多いのは事実。オンライン連携で成績を母校に移管する仕組み を採る校もあり、帰国後の進級に役立つケースも見られます。

生活費は近隣の国際都市（シンガポール、香港など）の約６割といわれ、学費も年間 5,000–20,000 USD 程度 と幅広く選べます。ローカル住宅を借りればさらに費用を抑えられ、リモートワーク＋教育移住を両立している家族が年々増加。
ただし、医療や保険、ビザ延長費用など見落としがちなコスト もあるため、長期滞在を検討する際は年間の総額シミュレーションが必須です。将来的に子どもが中高へ進むと学費が倍近くになるケースもあるため、早めの情報収集が安心材料になります。

Green School をはじめ、保護者向けの学びプログラムが常設 されている学校が多いのもバリの特色です。パーマカルチャー講座やヨガ・瞑想クラス、女性起業コミュニティなど、多くが校内で開講。子どもが授業を受ける間に、親もスキルアップやリフレッシュの時間を持てます。
もちろん全校が同規模のプログラムを用意しているわけではありませんが、「親も学び手」という文化は島全体に共通。学校を超えた保護者同士の情報交換会やボランティア活動 も盛んで、移住後の孤立感を防ぐ大きな支えになっています。