グリーンスクール・バリは、2008年に設立されたインドネシア・バリ島にある非営利のオルタナティブ・インターナショナルスクールです。Pre-K（2歳）からGrade 12（18歳）までの一貫教育を提供し、約490名の生徒が世界53カ国から集まっています。特に幼児〜小学生年代では日本人生徒が多く、安心して通える環境です。

教育理念と学びの特徴

「今と未来のニーズを満たす学び」を軸に、自然との共生とプロジェクト型探究学習を重視した独自カリキュラムを展開しています。米国のWASC認定、インドネシア政府のSPK認定を受けており、国際的にも高く評価されています。

壁のない竹造りの校舎で、川、棚田、ジャングルに囲まれた環境の中、子どもたちは五感を使い、実体験を通じて学びます。教科横断的なテーマ学習が中心で、数値評価はなく、成長や達成度はプロジェクト成果と教員コメントでフィードバックされます。

幼稚園（Early Years）

2歳から5歳までの幼児期は、自然の中で遊びながら英語に親しむ保育的カリキュラムが用意されています。自然観察、クラフト、音楽、ストーリーなどを通じて、主体性と感性を育てます。英語初心者でも問題なくスタートでき、ELLサポートも充実しています。

小学校（Primary Years）

6歳から11歳までの小学生には、英語、数学、科学、アート、音楽、環境学、インドネシア語などが教科横断的に教えられます。教室内外の活動を通して、思考力や表現力を育む教育が行われています。成績は数値ではなく、学習レポートと教員のフィードバックで構成されます。

中高等部（Middle & High School）

12歳以降は本格的な探究型学習が中心になります。高校ではGPAや偏差値はなく、「GSスキル（創造・協働・問題解決）」と「IRESPECT値（共感・責任・信頼など）」を評価軸に学習成果を測ります。

各学期では、テーマ別・教科横断型の授業（例：海洋生態×サイエンス×アート）や実践的プロジェクトが豊富に用意されており、生徒は自ら関心のある学びを設計していきます。希望者はAP科目（AP Calc AB、AP Env. Scienceなど）も選択可能です。

Greenstone（卒業プロジェクト）

高校最終学年の目玉カリキュラムであるGreenstoneは、生徒が約1年半かけて取り組む卒業研究プロジェクトです。TED形式での最終発表を通じて、社会課題と自分の関心をかけ合わせたテーマを深掘り・実践します。この成果は、海外大学への出願ポートフォリオとして大きな武器になります。

高校卒業要件と認定制度

卒業には26単位と年間40時間の地域奉仕活動が必須です。優秀な成績を収めた生徒には「Honors（優等卒業）」、GSスキルとIRESPECTを体現した生徒には「Green Leader」認定が授与されます。

キャンパスと設備

すべての校舎は地元の竹で作られ、壁のない構造が特徴です。体育館「The Arc」は国際建築賞も受賞。学校全体が自然と一体化しており、敷地内には水力発電、ソーラーパネル、バイオディーゼルバス、有機農園、コンポストトイレなど、持続可能な仕組みが完備されています。

海外・日本の進学状況

海外大学への進学実績は豊富で、NYU、UC Berkeley、UBC、Monash、Cornellなどが含まれます。ただし、Green School卒業だけで進学できるわけではなく、SAT/ACT、TOEFL/IELTS、ポートフォリオなどの準備が不可欠です。

一方、日本の大学進学は制度上制約があり、東大・京大などの国公立大学には出願資格がありません。私立の国際系学部（早稲田SILS、上智FILAなど）であれば、SAT/GEDやポートフォリオによって可能性が開かれます。現実的には、テンプル大学ジャパン、APU（立命館アジア太平洋大）などが狙い目です。

日本人家庭へのアドバイス

• 幼稚園〜小学校では日本人生徒が多く、安心感あり

• 中高では英語力・探究力・主体性が問われ、少数派になる

• 海外進学を視野に入れるなら、早期からSAT/GED/英語資格対策を始めるべき

• 日本の大学進学を本気で考える場合は、通信制高校やGEDとの併用が現実的

学費・年間スケジュール（目安）

• Early Years：USD 10,000〜15,000

• Primary：USD 17,000〜22,000

• High School：USD 25,000〜30,000

• 入学金・施設費・兄弟割引あり

• 年間3ターム制（8月始まり）

この学校は、自然と共に生きながら“本質的な学び”を追求する子どもにとって、他に類を見ない学びの環境です。学歴や偏差値に縛られず、未来を創る力を育てたい家庭には最良の選択肢です。