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インドネシアでの不動産取得ガイド:外国人向けマニュアル

更新日:6月5日


「バリ島で暮らしたい」「投資用ヴィラを持ちたい」——そんな夢を抱く日本人は年々増えています。でも、ちょっと待ってください。

インドネシアの不動産は、日本や他の国とは法律も、常識も、リスクも全然違います。「名義貸しで大失敗」「契約書に“延長不可”の罠」——実際に、法的にアウトな方法で土地を“買ったつもり”になっている人が後を絶ちません


このブログでは、現地の法制度・税金・取得手続き・法人設立・相続・トラブル事例まで、インドネシアで不動産を「正しく・安全に・合法的に」持つための情報を詰め込んでみました。


1. インドネシアの土地制度の概要

インドネシアの土地制度は、1960年の基本農地法(Agrarian Law No.5/1960)に基づいており、土地の最終的な所有権は国家にあります。この法律では、土地の使用権を個人や法人に与える形で土地利用が行われています。

2. 外国人が取得可能な権利形態

外国人がインドネシアで不動産を取得する際には、以下の権利形態が利用可能です:

  • Hak Pakai(使用権):外国人が個人で取得可能な権利で、居住用に限られます。初回30年間の使用が認められ、20年、さらに30年の延長が可能で、最大80年まで延長できます。


  • Hak Guna Bangunan(建設権):法人が取得可能な権利で、土地の上に建物を建設・所有することができます。初回30年間の使用が認められ、20年、さらに30年の延長が可能で、最大80年まで延長できます。


  • Hak Sewa(賃貸権):土地や建物を一定期間借りる権利で、契約期間は通常25〜30年で設定されます。延長も可能ですが、契約内容によります。


3. 法人(PT PMA)を通じた取得方法


外国人が商業目的で不動産を取得する場合、インドネシアに外資系法人(PT PMA)を設立することで、Hak Guna Bangunan(建設権)を取得することが可能です。PT PMAは、外国人が100%出資できる法人形態で、以下の要件があります: インドネシアにおける外資系企業(PT PMA)の設立には、以下の資本金要件が定められています:

  • 最低資本金:約10億ルピア(約9,000万円) 

  • 法人設立手続き:インドネシア投資調整庁(BKPM)への登録が必要

  • 使用目的:商業利用に限られ、居住用には適していません


4. リース契約の実務と注意点


外国人が個人で不動産を取得する場合、リース契約(Hak Sewa)を利用するのが一般的です。リース契約では、以下の点に注意が必要です:


  • 契約期間:通常25〜30年で設定され、延長オプションがある場合もあります。

  • 契約内容:賃料、用途、修繕責任、譲渡・サブリースの可否などを明確にする必要があります。

  • 法的効力:契約書はインドネシア語で作成し、公証人(ノタリスト)の認証を受けることが推奨されます。

5. 税金・費用・維持管理コスト


不動産取得および保有に伴う主な費用は以下の通りです:

  • 土地・建物取得税(BPHTB):物件価格の5%

  • 土地証書取得費用:物件価格の1%

  • 弁護士費用:物件価格の0.5〜1.5%

  • 登記費用:物件価格の0.2%

  • 贅沢品税(PPnBM):高級住宅や別荘の場合、物件価格の20%

  • 固定資産税(PBB):物件評価額の最大0.5%


6. 購入プロセスのステップバイステップ


  1. 物件の選定:信頼できる不動産業者を通じて物件を選定

  2. 価格交渉と条件の確認:売主と価格や条件を交渉

  3. 法的調査(デューデリジェンス):土地の権利証明書や税金の支払い状況を確認

  4. 契約書の作成:公証人の立会いのもと、正式な契約書を作成

  5. 支払いと登記:契約に基づき支払いを行い、土地登記所(BPN)で登記手続きを完了


🔍 デューデリジェンス(Due Diligence)とは?
意味:「デューデリジェンス」とは、直訳すると「相当な注意義務」。不動産取引では、「購入前に調べ尽くすこと」です。要するに、“騙されないための先回りチェック”。

🧠 なんのためにやるの?


✔ 本当にその物件、合法か?

  • 所有者は誰か?

  • 土地の利用目的は住宅用?農業用?商業用?

  • 建築許可(PBGまたは旧IMB)はある?

  • 境界線は正確か?

  • 州・村のゾーニングルールに違反していない?


✔ 隠れたトラブルはないか?

  • 土地の上に他人の権利(貸借権・抵当権)はついてない?

  • 税金はちゃんと払ってあるか?

  • すでに他人と売買契約してないか?


🧾 インドネシア不動産購入時のDDチェックリスト

チェック項目

内容

関連書類

所有権確認

誰が本当の所有者か?

SHM, SHGBなどの証書(Sertifikat Tanah)

土地用途確認

住宅用か商業用か?違法建築じゃないか?

Zoning 証明書, Tata Ruang

建築許可確認

建物が合法に建てられたか?

IMBまたはPBG(建築許可証)

税金確認

土地・建物の税金は支払い済みか?

SPPT(納税証明)

リース内容確認

契約の延長、譲渡の条件は?

賃貸契約書 (Lease Agreement)

境界線確認

境界の争いがないか?

現地測量図(Peta bidang)

抵当権確認

銀行などに担保にされてないか?

Sertifikat Bebas Hak Tanggungan(担保なし証明)

👨‍⚖️ 実務的な進め方(プロに頼む場合)

ステップ①:Notaris(公証人)を雇う

不動産に特化した公証人(Notaris & PPAT)に依頼。

ステップ②:物件資料の提出を依頼

売主またはブローカーに書類の提出を求める。

ステップ③:調査レポートの作成

1〜2週間で「DDレポート」をもらえる。問題がある場合は購入中止か、価格交渉材料に。



7. 注意点とリスク管理(+よくあるトラブル事例)


⚠️ 外国人に多いトラブル事例


  1. 名義貸しによる所有権トラブル外国人が現地人の名義を借りて土地を取得し、後に名義人が「これは自分の土地だ」と主張。➤ 実質的に所有権を主張できなくなる可能性があり、法的にもリスク大でお金も時間もかかり、ほぼ負ける。

  2. リース契約書が曖昧で延長拒否されるケースリース期間30年終了時に延長交渉を申し出たが、「契約書に明記されていない」として拒否され、再契約を高額で要求される。➤ 延長オプションは必ず書面で明記し、公証人の承認を得るべし。

  3. 建築許可(IMB)なしでのヴィラ購入完成済みヴィラを購入後、IMB(建築許可証)が存在せず、行政からの差し止め命令や罰金。➤ 物件の建築許可証(またはPBG)と利用目的(住宅用か商業用か)を必ず確認する。

  4. 違法建築に対する解体命令景観保護地区や農業専用エリアに無許可でヴィラ建設し、後に州政府から撤去命令。➤ ゾーニングと土地用途(Zoning & Land Use)に合致しているかを必ずチェック。

  5. 現地業者による工事の手抜き・資金持ち逃げ建設をローカル業者に委託したところ、途中で失踪 or 資材を不正流用。➤ 建築契約には工期、支払い条件、ペナルティ条項を明記。監督者を雇うのが安全。


    8. 外国人の借用権相続と税制のポイント

    ✅ 借用権(Hak Sewa)の相続と税金


    インドネシアでは、相続税(inheritance tax)や贈与税(gift tax)は課されません。そのため、外国人が借用権を保有していた場合、契約内容に相続条項が明記されていれば、相続人(例:子供)にその権利を移転することが可能です。

    ただし、借用権の相続が可能かどうかは、契約書に相続や譲渡に関する条項が明確に記載されているかに依存します。契約書に相続に関する記載がない場合、相続人がその権利を主張することが難しくなる可能性があります。

    また、借用権の相続に際して、不動産取得税(BPHTB)やその他の関連費用が発生する可能性があります。これらの費用や手続きについては、公証人(Notaris)や土地登記官(PPAT)に相談し、適切な手続きを行うことが重要です。


🧭 まとめ:インドネシア不動産で失敗しないために、今あなたができること


バリ島やインドネシアでの不動産購入は、夢を叶える素晴らしい手段であると同時に、知識のないまま突っ込めば、地雷だらけの危険地帯でもあります。


今回のガイドでは、

  • インドネシアの土地制度の基本

  • 外国人が取得できる合法的な権利の種類

  • PT PMA設立による所有方法

  • デューデリジェンスの必須チェックリスト

  • 税金・費用・相続といったリアルな数字

  • よくあるトラブルの具体例

を全て、最新かつ信頼性の高い情報源から裏付けて解説しました。


✔ 最後にお伝えしたい3つのこと:


  1. 不動産は“買う前”に9割決まる → 権利の種類、契約書、調査で失敗しなければ、成功に近づきます。

  2. 「合法」にこだわるほど、長く使える資産になる → 名義貸しやグレー契約は一時の安さと引き換えに、将来の大損失を招きます。

  3. バリ島は、知っている者だけが笑える場所 → 法制度・契約文化・現地の空気まで学んだ人が、本当の勝者になります←これが最も重要かも!


インドネシア不動産は、“楽園ビジネス”ではなく、“法律と数字の世界”です。でも、それを理解した上で正しく進めば、あなたにとって「第二の人生」や「資産形成」の大きな一歩になるはずです。

少しでもリスクを減らし、長く安心してバリやインドネシアの土地を活用したいなら、焦らず、必ず専門家のチェックを入れてから動いてください。

バリの青空の下で「やってよかった」と笑える未来を、あなた自身の手でつかみに行きましょう。


それが、不動産投資の本当のゴールです。 🏡 弊社では、日本語でインドネシアでの不動産取得・契約に関する各種サポートも行っております。


具体的なご相談や、現地での視察・契約チェックなどをご希望の方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。 弊社では投資用のホテル物件等も扱っていますのでお問い合わせください。

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