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Apple Developer Academy バリ島 ! インドネシア内で唯一、無料で外国人も学べるアップルデベロッパーアカデミー

最近、知人のお子さんがバリ島の Apple Developer Academy に通っていると聞き、「どんな学校だろう?」と調べてみました。調べれば調べるほど、単なるコーディングスクールではなく、多分野にわたる教育と多様な人材が集まるエコシステムであることが分かったのでご紹介します。

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背景:なぜインドネシアにアカデミーが増えているのか

インドネシア政府は2016年、スマートフォンなどの電子機器に一定割合以上の国内産部品・技術を含めることを義務付ける 国内コンポーネント比率(TKDN)規制 を導入しました。大手メーカーは現地生産や投資を通じて規制に応える必要があり、Apple もその一環として開発者育成に投資を拡大しています。

2018年にジャカルタで最初の Apple Developer Academy が開校し、続いてスラバヤとバタムに拡大、2024年にバリ島に第4校目が設立されました。ティム・クック CEO は「インドネシアで伸びる開発者コミュニティに投資し、彼らの成功を支援したい」と、アカデミーは規制対応の投資先であるだけでなく、国内外のiOSエコシステムを育てる重要な拠点となっています。

プログラムの概要:9か月間でアプリ開発からビジネスまで

1. カリキュラムの全体像

バリ島アカデミーは 9か月間 の対面型プログラムです。主な特徴は、iOSアプリの開発スキルに加えてデザイン、マーケティング、プロジェクトマネジメントなど幅広い分野を体系的に学べる点です。Apple公式のプレスリリースによると、プログラムは次の分野をカバーしています。

  • コーディング:Swift 言語を用いたアプリ開発の基礎から応用。

  • UI/UX デザイン:ユーザー体験を設計し、プロトタイピングやユーザーテストを行う。

  • マーケティングとビジネス:市場分析や収益モデル構築、ピッチ資料の作成など、アプリをビジネスとして成立させるための手法。

  • プロジェクトマネジメント:チームの役割分担、進捗管理、リーダーシップの養成。

授業は Challenge‑Based Learning を採用しており、実際の社会課題を発見し、チームで解決策を考え、アプリを作って発表するまでを繰り返します。この実践的な学習法により、単なる技術力だけでなく問題解決力やコミュニケーション力も鍛えられます。

2. 無料で機材と手当が提供

プログラムは完全に 奨学金制 で、受講料はかかりません。受講生には MacBook や iPhone など開発に必要な機材が貸与され、月額の手当も支給されます。開発したアプリの知的財産権は受講生自身に帰属するため、卒業後にビジネスとして展開することも可能です。

3. 多様なバックグラウンドと年齢構成

バリ島校は国内外から参加者を受け入れ、インドネシア 90 以上の都市から学生や社会人、主婦、デザイナー、ビジネスパーソンなどが集まっています。年齢層は 18歳から50代まで と幅広く、各自の経験がプロジェクトに新しい視点をもたらします。英語が主な授業言語であるため、英語の基礎があれば参加しやすく、世界中から応募できます

応募条件とサポート体制

1. 基本的な応募資格

公式FAQによれば、応募には次の条件を満たす必要があります。

  • 年齢: 18歳以上(上限は設けられていません)

  • 国籍・在留資格: インドネシア国民は有効な KTP(国民識別証)が必要。外国人はインドネシアの学生ビザ取得資格を満たし、ビザ申請手続きを行えること。

  • 学歴や経験: 特定の学歴やプログラミング経験は不要で、非技術分野出身者や未経験者も歓迎される。

  • フルタイム参加: 9か月間、週5日・1日4時間の対面学習に参加できることが求められます。

2. 応募手続きの流れ

  1. オンライン申請フォーム に必要事項を入力。応募期間は例年3月〜4月頃で、一年に一度のみ申請できます。

  2. 履歴書とポートフォリオの提出 – 過去のプロジェクトや作品をまとめたポートフォリオは必須書類です。

  3. オンラインテスト – 書類審査が通ると招待メールが届き、論理的思考や数学、基本的なプログラミング概念を問うテストを受けます。

  4. グループディスカッション面接 – オンラインテスト合格者は、チームで課題解決に取り組むディスカッション面接へ進みます。ここでは協調性やコミュニケーション力、リーダーシップが評価されます。

  5. 結果通知 – 全てのステップを終えた後、合否がメールで届きます。

選考ではテストの点数だけでなく、面接でのパフォーマンス、履歴書やポートフォリオの内容、学習意欲、チームワークの姿勢が総合的に評価されます。

3. 国際生へのサポート

インドネシア国外から参加する場合、ビザ取得手続きに関するサポートがありますが、住宅費や生活費、渡航費は自己負担となります。授業は英語で行われるため、基本的な英語能力が必要です。

選考試験の内容:参加者の体験談から

ウズベキスタンから合格した 19歳の方は、応募時に Vision Pro アプリやインターン経験を盛り込んだポートフォリオを提出し、論理・数学・コンピュータ基礎 を含むオンラインテストに合格した後、グループディスカッション面接で技術的な課題解決を発表したと語っています

この体験談は、テストが単なるプログラミング試験ではなく、数学的思考やチーム協働も重視していることを示しています。また、入学後はアプリ開発に加えて デザイン思考やユーザー調査、マーケティング などにも取り組み、自らアイデアを企画し、ユーザーにヒアリングしてピッチするまでの一連のプロセスを学んでいると述べています

卒業後の可能性と実績

アカデミーは多くの優秀な卒業生を輩出しており、その約90%が教育、eコマース、交通、サステナビリティなど多様な業界で活躍していると報告されています。例えば、2022年に入学した Mary Santoso さんは、学んだスキルを活かして発達障害や学習障害の子ども向けに iPad アプリ WonderJack を開発しました。また、ジャカルタ校の卒業生チームは、視覚障害者向け室内ナビゲーションアプリ PetaNetra を開発し、AR 技術で建物内を安全に移動できるよう支援しています。

まとめ:50代も学べる国際的な学校

バリ島の Apple Developer Academy は、18歳から50代まで幅広い年代が参加し、無料で最先端のIT教育と多分野のスキルを習得できる国際的な学びの場です。インドネシアの産業政策という背景を踏まえつつも、その目的は単に規制に応えることだけではなく、新しい開発者や起業家を育てることにあります。ちなみに去年は3000人応募があり、受かったのは100人だったそうです!英語が使える方であれば国籍を問わず応募できるので、興味のある方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。


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