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バリのインター校は勉強しない?

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バリのインターナショナルスクールに通わせるという選択

― ネイチャースクールが教えてくれる「生きる学び」


「バリの学校は勉強しないの?」という問いから始まる


「バリの学校って、全然勉強しないって聞くんですけど…」日本の親御さんから、よくそんな言葉を聞く。


確かに、バリ島の多くのインターナショナルスクールは、日本のような「教科書を使った授業」「テスト中心の評価」とはかなり違う。特にネイチャースクールと呼ばれるタイプの学校では、机に向かう時間よりも、外に出て、自然の中で体験する時間のほうが圧倒的に多い。


それを見て、「勉強していない」と感じる親も多いだろう。でも、実はその「違い」こそが、バリの学校の本質だ。


学び方が違う ― 「プロジェクトベース」という考え方


バリの多くのインター校は、プロジェクトベースラーニング(Project-Based Learning)を採用している。これは単に「遊びながら学ぶ」ということではない。実際の社会課題をテーマに、自分たちで調べ、話し合い、作り上げていくプロセスを通して、自然と知識や思考力を身につけるスタイルだ。


たとえば「海のプラスチックごみを減らすには?」というテーマ。子どもたちは海に行き、実際にごみを拾い、数を数え、分類する。その結果をまとめて発表するだけでなく、地域の人に呼びかけてイベントを企画する。その過程で英語を使い、算数を使い、プレゼンテーション力を身につけていく。


つまり、教科書で“覚える”のではなく、体験の中で“身につける”。その積み重ねが、子どもの中に「生きた学び」を残していく。


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教育移住を選ぶ家族の理由 。「英語のため」では終わらない


教育移住を研究している教授の話を聞いたことがある。マレーシアに教育移住する家庭は「英語を学ばせたい」「費用が安い」といった手段的な理由が多いという。


一方で、バリを選ぶ家族はまったく違う。日本人も、欧米人も、ここでの暮らしを「家族としての生き方」として選んでいる。「子どもがのびのび生きてほしい」「自然の中で本当の学びをしてほしい」──そんな価値観から選ぶ家族が多いのだ。


バリでは、教育はライフスタイルの一部。「どんな学校に通わせるか」ではなく、「どんな人生を生きたいか」から始まる。


インターナショナルスクールも多様化している


バリのインターナショナルスクールといっても、すべてがネイチャースクールというわけではない。中には、国際バカロレア(IB)認定校のように、アカデミックに力を入れた学校もある。一方で、グリーンスクールのようにサステナブル教育に重点を置く学校もあれば、小規模で家族的な雰囲気のスクールもある。


つまり、どんな教育が合うかは、子どもと家族の方向性による。「座って学ぶ方が向いている子」もいれば、「体で感じて学ぶ子」もいる。バリはその選択肢が驚くほど豊かだ。

去年開校したブリティッシュスクールオフバリ
去年開校したブリティッシュスクールオフバリ

ネイチャースクールという“今の時代の学校”

ネイチャースクールの象徴的な存在といえば、やはり「グリーンスクール・バリ」。竹の校舎、森の中の教室、教科書の代わりにフィールドワーク。その理念は、単に環境教育ではなく、「今を生きる子どものための学校」だ。

SCHOOL FOR NOW”、今の時代を生きるための学校。

これは大げさなスローガンではない。AIが進化し、答えを出すのは人間ではなくなった時代。子どもに必要なのは、「正しい答え」よりも「考える力」だ。自分で試し、間違い、仲間と協力し、そこからまた挑戦する。

私は教育システムそのものを一種の“商売”だと思っている。「いい大学に行けば、いい人生が手に入る」という古い成功モデルは、もはや崩れつつある。ネイチャースクールが伝えるのは、「今を生きる力」こそが、これからの時代に本当に必要な教育なのだということ。

子どもが学びを「楽しい」と感じる瞬間

バリのネイチャースクールで見かける光景は印象的だ。 泥だらけで笑う子どもたち、木の上で議論をする中学生、竹の橋を自分たちで直す高校生たち。 彼らの目は輝いている。

誰も「やらされている」顔をしていない。学ぶこと自体を楽しんでいる。

そして、それを見守る親の表情も穏やかだ。点数や偏差値の代わりに、「子どもの笑顔」を教育の指標にしている。そこにあるのは、生きる喜びと学ぶ喜びが重なる瞬間だ。

結び ― 「楽しい」に勝るものはない

「楽しい」に勝るものは、まずない。 楽しさがあると、言葉はすぐに身につく。英語も、遊びや興味の延長で自然と覚えていく。楽しいと、勉強も自発的に進む。自分の好きなことは楽しいから、人も集まる。仲間ができ、さらに学びが広がる。

楽しいことを繰り返すと、「人生を楽しく生きる癖」がつく。日々の選択が軽やかになり、挑戦すること自体が喜びになる。学力や資格は重要だが、それ以前に、子どもが自分の人生を楽しめるかどうかが何より大事だ。

バリのネイチャースクールが教えてくれるのは、まさにこのことだ。楽しさを軸にした学びは、知識以上の力──人生を豊かにする習慣を子どもに残す。もしあなたが「子どもに生きる力を与えたい」と思うなら、まずはその場所で子どもが笑っているかどうかを見てほしい。 笑顔のある学び場ほど、長く効く教育はない。

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